バイオホライズンは、アメリカでインプラントシステムの開発を行なっている企業で、日本国内では株式会社カイマンデンタルがバイオホライズンインプラント一式の受託販売をしています。ストローマンやノーベルバイオケアと比べると知名度はまだ低いですが、極めて特殊な技術の開発をしており、近年ではインプラント業界において確固たる地位を確立しつつあります。そのバイオホライズンのインプラントシステムについて詳しく紹介していきます。

バイオホライズン社とは

バイオホライズン社はアメリカで1994年に設立されました。1997年にDr.カール・ミッシュとの共同開発のもと最初のエクスターナルインプラントを発売しています。このインプラントシステムの特徴として、「3inOne」という3つの役割を掛け持つアバットメントが同梱されています。2004年にはインターナルインプラントの発売もしており、表面処理の開発にも注力しています。そして2007年にはレーザーロック(Laser-lok)技術を確立します。インプラント体のカラー部分にレーザーロックを附与した製品の発売を行います。その後、その独自な技術がバイオホライズン社の大きな強みとなりました。

バイオホライズン社とは

レーザーロック技術

レーザーロック(Laser-lok)は、バイオホライズン社が特許取得した非常に重要な技術です。インプラント体のカラー部へ、特許技術である強いレーザー光を照射するレーザーアブレーションと呼ばれる特殊な処理を用いります。これによりインプラントカラー部の周りがエッチングされるため、細胞が侵入できる微細な溝が形成されます。これをレーザーロックマイクロチャネルと呼んでいます。このマイクロチャネルの形成によって、結合組織への付着が促されます。

マイクロチャネルの構造について

レーザーロックマイクロチャネルは、極めて微細な構造になっています。また、電子顕微鏡による確認が可能な、規則的で微細な溝が形成されており、線維芽細胞や骨芽細胞の付着を助ける役割を果たします。これは各細胞の組織化に最も適した構造だといえます。

さらにレーザーロックマイクロチャネルは、上皮細胞の根尖側移動を抑える効果も発揮します。そのうえ、結合組織の付着の促進もするため、インプラント治療において有益な生物学的反応を誘導する特徴も持ち合わせているのです。

レーザーロック(Laser-lok)の効果

1軟組織への付着

レーザーロック(Laser-lok)技術を利用したインプラントには、一般的なインプラントと比較すると明らかな差異があります。まず軟組織付着に関していうと、レーザーロックインプラントの方が有効性がより高いと示されています。これは、一般的なインプラントは表面処理法に酸エッチングやグリットブラストを採用しているからです。これらの処理法ですと表面性状がランダムとなってしまうため軟組織付着に対する有効性が低下します。その一方でレーザーロックインプラントは、レーザーロック技術による表面処理を行うことにより、規則的で微細な溝の構造が形成されるので軟組織付着の点で有利なのです。

2骨吸収を抑制する

インプラントの埋入後は、ある程度の骨吸収が起こってしまいます。いくらチタン製のインプラントが生体親和性に優れていても人工物なので、ある程度の骨吸収は仕方のないことです。ただし、レーザーロック処理の施されたインプラントの場合、埋入後の骨吸収の度合いを抑制することが可能です。バイオホライズン社のデータによれば、酸エッチングなど一般的な処理を施したインプラントと比べると、レーザーロック処理を施したインプラントでは術後37ヵ月の骨吸収が70%も抑制できていることがわかったのです。インプラントを長持ちさせる上で、これは極めて重要なポイントであるといえます。

3線維芽細胞の反応

インプラントを安定させるには、線維芽細胞の反応もとても重要となってきます。処理を何も施していない平滑な面に対しては、線維芽細胞が配向性を持つことは無いです。かたやレーザーロックマイクロチャネルが付与された部位は、線維芽細胞が高い配向性を持つと明らかにされています。その結果、スムーズに線維芽細胞の組織化を進められるようになります。

4レーザーロック処理を施したアバットメント

バイオホライズン社は、レーザーロック処理をインプラント体だけでなく、アバットメントにも適用しています。レーザーロック処理がアバットメントに施されると、生物学的封鎖性がより高まるので、硬組織と軟組織のどちらにもこの処理が有益だということがわかっています。さらに、軟組織の状態が安定すると、歯槽頂骨も良好な状態を保てる可能性が高まります。これらは、どちらもインプラント全体の安定性に貢献します。

バイオホライズンが採用される理由

ここまで、バイオホライズン社のインプラントの特徴であるレーザーロック技術をメインに解説してきました。
しかし、まだ歴史の浅めな企業にも関わらず何故ここまで世界中で認められるようになっていったのでしょうか。

術者の使用感が配慮されている製品設計

バイオホライズン社のインプラントは、レーザーロック技術のような高度なテクノロジーだけではなく、インプラントの取り扱いをしている歯科医師側にも配慮された製品設計が支持されています。なんといってもインプラントオペを行う術者が使いやすいかどうかという点においても、世界的に支持されるには、このような配慮が重要なのでしょう。

術者の使用感が配慮されている製品設計
これまでなかった技術開発

バイオホライズン社は、3inOneアバットメントを始め、レーザーロック技術や多様性があるコンポーネントなど、とても革新的な技術開発が特徴的な企業です。これもバイオホライズン社が採用される理由のひとつであるといえます。

これまでなかった技術開発
グローバルなネットワーク

どんなに技術が発達していても、サービスの面で何かしらの難があってしまうと自ずとそのシステムは減退していきます。その点、バイオホライズン社は強固なグローバルネットワークが構築されており、サービス性の向上も推し進めています。欧米やアジアだけに留まらず、中東やアフリカ、オーストラリアに至るまで世界中にその支店があるため、どこにいても専門性に優れたカスタマーサービスを受けることが可能です。

グローバルなネットワーク
技術開発が科学的根拠に基づいている

どんなに先鋭的なアイデアや優れた技術であっても、科学的根拠に基づいていることが必須です。基づいていなければ、それは理想論に留まってしまうからです。そこで、臨床報告や論文が非常に重要となってきます。バイオホライズン社はさすがは技術研究を主体としている企業だけあって、技術開発に関する臨床報告や論文をオフィシャルサイトにて公開しています。

このような特色のある企業だからこそ、世界中に採用されているインプラントシステムとなったといえます。バイオホライズン社についてさらに詳しく知りたい方は、是非オフィシャルサイトをご覧ください。

技術開発が科学的根拠に基づいている