韓国に本社を構えるオステムインプラントは、現在45か国もの世界で急速に普及しているインプラントメーカーです。 韓国国内はもちろん、アジア環太平洋地域でのシェアは1位とトップクラスで、全世界のインプラント市場においても6位に位置しています。知名度はストローマンやノーベルバイオケアに追いつく勢いで、オステムインプラントの名は広く知れ渡ってきています。
ここでは、3大インプラントメーカーと比較しながらオステムインプラントの特徴を詳しくご説明していきます。

3大メーカーの長所を掛け合わせたインプラント

ノーベルバイオケアの「ブローネマルクインプラント」、ストローマンの「ITIインプラント」、デンツプライの「アストラインプラント」の3つのインプラントが世界で台頭していて、これらのインプラントシステムは多くの患者さんに選択されています。まず、これら3つのインプラントシステムの特徴を解説し、オステムインプラントの詳しい説明をしていきます。

3大メーカーの長所を掛け合わせたインプラント

1ブローネマルクインプラント

ブローネマルクインプラントは、インプラント治療の創始者のブローネマルクの名前を冠するインプラントシステムです。初めてインプラントを製品化したストローマンによる開発が進められていて、ブローネマルクインプラントは世界で最も使用されていると言っても過言ではないほどのトップシェアを誇っています。
こちらは、初期固定を重視する点が特徴として挙げられます。インプラント体そのものも、初期固定が得られやすく表面性状の骨との結合もしやすいです。ただし、後述する「SLA」には劣るともいえます。

2ITIインプラント

ITI(International Team for Implantology)インプラントの特徴は、1回法に重点を置いています。ストローマンが特に積極的な開発を進めています。表面性状の「SLA」が非常に優れているので骨との結合がとても得やすく、オッセオインテグレーションの獲得に有利な形状をしています。こちらも全世界でトップシェアを誇っているインプラントシステムです。

3アストラインプラント

アストラインプラントは、デンツプライが開発を進めるインプラントシステムです。こちらの特徴は、ネジが緩みにくいことが挙げられます。しかしインプラント体の直径は最大で5mmと、その他のメーカーと比較すると細い傾向にあるため、初期固定を得にくいという短所も見受けられます。

4オステムインプラント

オステムインプラントは、上述のストローマンのように50年以上もの歴史を誇るメーカーなどと比べると後発の新しいブランド名ので、その分オステムインプラントは3大メーカーの良いところを掛け合わせて開発された、いわば良いとこ取りなインプラントシステムなのです。

オステムインプラントの特徴

オステムインプラントは、ITIインプラント同様の表面性状のSLAを採用したうえ、インプラント体においてはアストラインプラントと類似した形態に設計しています。つまり、1回法を導入しやすく、さらにネジのゆるみにくいインプラント体を製品化することに成功しました。直径6mm、7mmといったアストラインプラントよりも大きめのインプラント体もラインナップにあるので、ブローネマルクインプラントと同じように、初期固定まで得やすい設計を実現できました。
いいとこ取りをした開発ですが、これは患者さんにとってとても有利な設計であるといえます。

オステムインプラントの特徴

SLAとは

何度も出てきた「SLA」という言葉は、インプラント特有の用語です。SLAとは、Sand-blasted Large-grit Acid-etchedの略称で、インプラント体の表面に特殊な加工を施す技術のことを指します。具体的には、インプラント体に研磨剤を吹き付けて、表面を粗造にします。そこに、さらに酸による腐食作用を利用して表面加工をすることで、インプラント体と骨が短期間で結合するよう促します。そうすることで機能負荷をかけられる時期が早まるので、治療期間の大幅な短縮が可能です。このSLAは、ITIとストローマンが共同開発した技術です。そして、オステムインプラントにも、このSLAと同等の処置が適応されています。

世界シェア6位のオステムインプラント

オステムインプラントがいかに、3大メーカーの特徴を模倣した開発をしてきたかここまで説明してきましたが「それは単なるコピー製品ではないのか?」と、不安に感じる方もいることと思います。それぞれのメーカーのインプラントには長所や短所があり、完璧なものを製作することはほぼ不可能だといえます。アストラインプラントを例に挙げると、インプラントの中がくり抜かれた形状なので、5mm以下の小さなフィクスチャーでは破折しやすい傾向にあり、インプラントネックの部分が破折したという報告もあります。

自社オリジナルのインプラント体の開発に注力することはとても重要ですが、メリットだけでなくデメリットまで大きくなっては主客転倒です。オステムインプラントは3大インプラントメーカーの模倣ではあるものの、単なるコピーとは違い、それぞれのもつ特性をしっかり理解し開発されています。メーカーの持つ長所が最大になるよう最適化されているので、患者様にとっては非常に有益なインプラントシステムに仕上がっています。そうした取り組みにより、アジア環太平洋地域で1位、全世界で6位のシェアを誇ることができるようになったのです。

世界シェア6位のオステムインプラント

オステムインプラントによるメリット

オステムインプラントでは、SLAという特殊な表面性状が備わっているので、骨移植を必要とする症例においても、サイナスリフトのような外科処置無しでインプラント体を埋入することができます。また、太くて短いインプラント体を使用することにより、下顎管の損傷を防ぐことも可能です。さらに、骨に触れる表面積が増えるため、治療期間を大幅に短縮することも可能なのです。いずれもオステムインプラントを採用することで得ることのできるメリットだといえます。

オステムインプラントによるメリット